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相続は人の死亡によって開始します。(民法882条) 死亡した人のことを被相続人といいます。被相続人に財産がある場合には、その財産を引き継ぐ人(相続人)を決めることになりますが、遺言書の有無を確認します。遺言がある場合には、相続人が引き継ぐ相続財産の割合が記載されているので、遺言書に従うことになります。しかし、遺言書がない場合には、相続人全員が参加して、遺産分割協議で相続分を決めるか、法定相続分によることになります。
相続で行われる手続きで多いものは、土地と家屋等の不動産の名義変更と金融機関の預金の名義変更手続きがあります。しかし、この手続きには戸籍謄本や除籍謄本の取得や相続人全員から遺産分割協議書や印鑑登録証明の取り寄せ、不動産評価額の調査・・・たくさんの書類が必要になってしまいます。これらの手続きが終わらない場合、不動産の名義変更ができず、預金も引き出すことができません。
相続するものは、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産、つまり借金も相続します。そこで、民法ではこの相続について、3つの方法を定めています。ご自身にあった制度が利用できます。
① 単純承認(たんじゅんしょうにん)
② 限定承認(げんていしょうにん)
③ 相続放棄(そうぞくほうき)
① 単純承認は、すべての財産と借金を引き継ぐ制度。
② 限定承認は、相続で得た財産の範囲内で借金などの債務も引き継ぐ制度。
③ 相続放棄は、財産も借金も一切のものを引き継がない制度。
ただし、②限定承認と③相続放棄をするためには、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。なお、③相続放棄は法定相続人が一人でできますが、②限定承認は法定相続人全員でしなければなりません。単純承認は特に手続きは必要ありません。
財産の分け方の話合い、つまり遺産分割協議には特に期限はありませんが、協議が整わない場合には、何かと不都合があります。また、協議が長期間にわたっているときに、その協議に参加中の相続人が亡くなってしまうと、さらに相続が発生し(代襲相続)、協議に参加していた相続人の子供も、この協議に参加してきます。
遺産分割協議が整わない場合には、家庭裁判所で調停(審判)という手続きを行うことができます。